高齢化の問題 problem of aging 2003 8 8

 農村においての高齢化の問題を書きましたが、
実は、地方公共団体においても、高齢化の問題があるのです。
最近では、どの地方公共団体でも、行政改革が大きなテーマとなってきました。
しかし、これが、重い副作用を発生させているのです。
 地方公共団体で行政改革と言うと、民間企業で言うところのリストラにあたるでしょう。
しかし、地方公共団体では、簡単にリストラはできません。
公務員の地位は、法律で保証されているからです。
 そのため、どうするか。
これは、公務員の新規採用をゼロにするか、抑制するという方法を取るそうです。
毎年、過去に大量採用した公務員が、大量に退職していきます。
このような状態で、公務員の新規採用をゼロにするか、抑制するのです。
 こうすれば、手っ取り早く、職員の削減ができるのです。
これで、地方公共団体は、行政改革を推進したと称してきたのです。
 しかし、これは、副作用が大きすぎたのです。
この行政改革と称した方法を、10年近く行なってきた地方公共団体は、どうなったか。
 それは、職場が高齢化したのです。
要するに職場に若者がいなくなったのです。
 地方公共団体における役職構成は、民間企業に、当てはめて言えば、
一般職員、主任、係長と階級が上がっていく構成でしょうが、
公務員の新規採用を抑制した結果、一般職員という若手職員がいなくなり、
30歳以上の主任が増えたという、いびつな構造になったのです。
 つまり、主任を役職と考えれば、役職だらけの職場、
兵隊がいない「役職だらけの職場」となったのです。
こういう組織は、歴史上、いくらでも存在しました。
しかし、末路は、だいたい同じです。
 インターネットには、公務員のコミュニティーというものが、いくつかあります。
このコミュニティーは、意外なことに、歴史と伝統があります。
歴史が長いので、たくさんの事例があります。
 そこでは、30才になっても、係では、まだ、末席なのですと嘆く職員が増えたそうです。
なぜならば、その職場で、一番若い人は、30才の人だからです。
昔なら、30才になれば、係では、上席だったそうです。
このように地方公共団体の職場において、高齢化の問題が深刻化しているのです。
 さらに問題は、晴れて、係長に出世しても、
公務員の新規採用を抑制していますので、
部下がいない係長、
部下がいても、高齢化した職員ばかりという現状になっています。
 今まで行なってきた、地方公共団体の行政改革とは、見せかけだけの行政改革で、
かえって、職場の活力を失ってきた歴史だったのです。
政治家のマジックでしょうか。
政治家は、職場の活力を失わせ、しかし、それを手柄として、選挙でアピールしてきたのです。
しかし、数字のマジックに、だまされてきた有権者も、同じようなものです。